2005ORCレース総括

シリーズ戦
5/1の開幕から10/30の第7戦までの参加者は75名163エントリーと昨年2004(43名73エントリー)の倍近くとなった。また天候に恵まれほぼ予定していた日に開催できたが、最終戦は冬が早く訪れたため実施できなかった。540クラス、23tクラス、GPクラスに加えORCクラスが新設され、各クラス毎レース毎様々なドラマが繰り広げられた。

540クラス
マブチ540SH/ジョンソン540モーター、ストレートパックバッテリー、6.5以上の固定ギヤ比のマシンで、ハーフコースを使って競われる人気のレース。入門者向けと言うばかりではなく熱心なファンが多いカテゴリーで扱いやすいパワーのモーターのためコース上での駆引きを楽しめるのが特徴だ。2005シーズンはORCでレースデビューを果たした方が多くそれぞれにレースの楽しさを満喫されたことと思う。
シリーズ覇者は中鉢和良選手。出場した回は全てぶっちぎりでの優勝だった。徹底したマシンの軽量化、回るモーター、重量とパワーのバランスが取れたGP3300バッテリーなど、勝てる車に仕上げてあった。
2位には中鉢響選手。目立った成績は残せていないが全戦に参戦している。ORCレースでは参戦すると必ず10ポイントが得られるため各戦で優勝は無くてもシリーズ優勝を狙える位置に付ける事が出来る良い例となった。
3位には3戦に出場の熊谷直人選手が。熊谷直人選手は開幕戦で優勝を遂げ、中鉢和良選手の独走が予想された540クラスの台風の目となるかと思われたが第3戦以降の欠場が響いてしまった。実力は中鉢和良選手と同等だがマシンの仕上がりで差が出てしまった。
ギヤ比固定のレースはどうしてもモーターの当たり外れとバッテリーの性能によって優劣が出てしまう。マシン作りもレースの楽しみ方のひとつなのだが次シーズンはウエイトハンディ等を導入しより白熱したレースを演出したいと考えている。

ORCクラス
今シーズン途中から登場したORCクラスはコントロールモーター、コントロールタイヤでフルコースにて競われるクラス。過激化したパワー合戦により純粋に腕の勝負をするためにはかなりの出費が必要となってしまった23tモーター。また、EPツーリングではタイヤとインナーの組合せ選択肢も多くなかなか参加しにくいものになってしまった。これに対して、27tモーターと接着済みタイヤを使用するこのクラスはイコールコンディションをローコストで実現できる。バッテリーもマッチドを禁止しているがバラセルを使用できるため出場出来る車種の幅は広い。マシンに差が付きにくいため速く走るばかりでなくミスの少ない走りと、コース上の駆引きを要求される。
シリーズを征した鈴木秀明選手は発売されたばかりのTA05を駆りORCクラスの誕生から欠かさず出場している。また同選手は開幕戦から第7戦まで欠席なしの皆勤賞である。皆勤賞は540クラスの中鉢響選手と二人だけ。第5戦、第6戦とギヤ比の選択に苦しみストレートスピードが伸びずに苦戦を強いられたが第7戦ではTBエボ3用のスパーを用いて改善し優勝を果たした。
2位にはORC代表でもある中鉢伸雄選手が地元の利を活かしせっせとセッティングに精を出した甲斐もあり第6戦で優勝。コースレコードを築いた。ORCクラスではギヤ比4.9が目安となる。(GP3700バッテリー使用時)
3位には佐々木明選手。参加者が少ないときに急遽参戦していただいたが、はやりベテランだけありしっかり結果を残した。
フルコースを使うため走り応えもあり540クラスからのステップアップ、23t/GPクラスの腕慣らしにちょうど良いクラスであるので次シーズンはより参加者が増えることを期待したい。

23tクラス
ORCレースでは唯一(?)のカリカリクラス。全ての車種を通じてのコースレコードは23tマシンが持っている。ORCサーキットは中速コーナーが多いため重量の軽いEPカーのほうがトータルでは速く周回しやすいのだ。特にストレートエンドのコーナーは23tマシンなら全開で抜けることが可能だがGPでは減速しなくてはならない。日本でのレース人口が一番多い同クラスだがORCではいまいち人気が無い。他の老舗サーキットでのレースとぶつかっているとこが原因とも考えられるが、やはりレースレベルで競おうと思うとかなりの出費が必要となるために、540クラスからのステップアップが難しいからではないかと考える。しかしチャレンジングなクラスなのは言うまでもないがマシンのセットが出ている状態で走らせていて一番楽しいと感じるのはこのクラスだ。
シリーズ戦の結果は同点で鈴木祐輝選手と中鉢伸雄選手が並んだが、8分の周回数とレース内容、中鉢伸雄選手が主催者ということを勘案し鈴木祐輝選手をシリーズチャンピオンとした。鈴木祐輝選手は開幕戦で優勝し、第2戦で3位となったがその後第7戦まで欠場していたためポイントが伸びずにいたが、第7戦で再び3位となったことでポイントトップとなった。常に安定したミスの少ない走りが印象的であった。
2位には同ポイントだが中鉢伸雄選手が入った。中鉢伸雄選手は参加者が少ない時にだけ参戦。5,6,7戦に出場した。ミスは多いのだがマシンのポテンシャルに助けられ第6戦で優勝した。
3位には脅威の速さを第2戦、第7戦で見せ周りを驚かせた伊藤雄二選手が入った。同選手のマシンは高度にセッティングされてあり、とうとう第7戦では前人未到の16秒台に到達し優勝している。今後も目を離すことの出来ない存在だ。タイヤのセレクトにもポイントがあるようで同選手はAHグレーver2とソレックスの組み合わせでORCレースに臨んでいる。
540クラス、ORCクラスからのステップアップ、コースレコードに挑戦をしたいというチャレンジャーが増えレースが盛り上がっていく事を今後に期待したい。

GPクラス
今年一番参加者が伸びたのはGPクラスだった。第7戦では18名、3ヒートに分かれて予選が行われるほどとなった。要因のひとつとしてスポンジタイヤを解禁したことがあげられる。現在各地のGPツーリングのレースではスポンジタイヤが主流となっている。絶対的なグリップがゴムタイヤと比べ高いためセッティングの幅が広く、少々セッティングを外してもそこそこ走ってしまうので初心者でも扱いやすいのだ。もちろんセッティングが決まればゴムタイヤより速く走ることが可能だが、ORCのコース幅ではスポンジタイヤを使用することのアドバンテージはあまり多くない。それは結果にも現れており、シリーズの上位3名のうちゴムタイヤを装着したマシンが1位と同点2位になっている。一方ゴムタイヤだがマシンの動きが実車に近くセッティングの効果もまんま実車と同じだ。そこにゴムタイヤの魅力がある。速いコーナーリングをするためには積極的な荷重移動を必要としブレーキを上手に使えるかどうか、加速時にスムーズに握っていけるかどうかが結果を左右する。全国で行われる京商カップではゴムタイヤを使用するが、ORCで走っているゴムタイヤのマシンの殆どが京商製である。
シリーズを征した中鉢和良選手は2004シーズンも征しており2年連続でのシリーズチャンピオンとなった。同選手はFW05のRRとSを使用している。タイヤはゴムタイヤだ。抜群のマシンコントロールで少々マシンのセッティングが合わなくなっても走らせてしまう。しかもそんな状態でもミスが少ない。第1戦を欠場したがその後2勝を上げ、第6戦でとうとうポイントリーダーとなった。
2位は板林美弘選手と大友友則選手が同点でなった。
板林美弘選手はスポンジタイヤを履き大友友則選手はゴムタイヤを履く。板林美弘選手は6戦に参加。一発の速さはあるのだが、ミスが多く周回数が伸びない。今後レース運びに磨きが掛かると怖い存在になりそうだ。
大友友則選手は中鉢和良選手同様、ミスが少ないスムーズな走りが印象的だった。昨年ORCでラジコンサーキットデビューを果たした同選手が今シーズン大躍進。ORCにおけるGPゴムタイヤでのコースレコードを持っている。しかもその時の車はV−one−S2でエンジンはGSである。レコードラインをトレースすることに集中し、無理な追い越しなどを行わないクリーンなレースを行う。今シーズンは2戦で優勝するものの第3戦と第5戦の欠場が響いてしまった。
今年盛り上がりを見せたGPクラスだが、徐々に参加者のレベルが上がっていることを実感できた。来シーズンもレベルの高いレースを期待したい。

耐久レース
ORCとして初めての試みとして開催したEP4時間耐久レースとGP2時間耐久レース。EPは2チーム6名、GPは4チーム17名の参加者で競われた。普段のORCレースとは違い団体戦であるため和気藹々と楽しくレースが進められた。コントロールタイヤ、モーター、燃料の支給、ラップリーダーには30分ごとのペナルティー一気などの嗜好を凝らしたレギュレーションもあり最後までレースの行方が読めないスリリングなレース展開に。
耐久はやはりトラブルの少ないチームが勝った。GPクラスではほぼノントラブル。EPでもスタートで出遅れた以外は目立ったトラブルが無かったチームが優勝している。ラインも無理にインに寄せずマシン1台分ほどの余裕を持ってコーナーをクリアするのがコツのようだ。
レースのペースを見るとEPとGPもほぼ一緒で混走も問題ない感じがした。ただ速い場所がEPとGPでは違うだけにクラッシュが多発する可能性は否めない。さすがに4時間は長かったが、2時間ではなにか物足りない感じがした。来年は3時間で行いたいと思う。


まとめ
2005シーズンを振り返るとそれぞれのクラスで毎戦毎戦サプライズがあり、レースを実況していても楽しかった。特に決勝時下位メインからの勝ち上がりを採用しているので、Bメインでも白熱したレースが展開されたのが印象的であった。勝ち上がればAメイン優勝の可能性も出てくるからだ。実際に540クラスでは勝ち上がりから中鉢和良選手が優勝を果たしている。一方、今シーズン中に分かった問題点として
1,レース中のマナーが浸透していない
2,コースマーシャルのルールが浸透していない
3,GPクラス走行前の待ち時間が多い
4,ゴミの散乱がよく見かけられた
5,路面との接触によるポンダーケーブルの破損が多かった
などがあった。
多くの方に参加頂けるようになって多くの人で競う楽しさは増えたのだが、逆の部分も出てきたことは残念でならない。ここまで参加頂いた方で作り上げてきたORCレースの良いイメージを維持すべく努力していこうと思う。
来年はスムーズなレース運営、今年同様に参加者全員分の景品を用意する等の努力を惜しまずORCを盛り上げていきたいと思う。


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